🐜 アリで~す
🦗 キリギリスで~す
『虫がいい奴・虫が好かない奴』
作:コピ
2021年3月
🐜「春だな」
🐜「春ね」
🐜「やったー!暖かい!」
🐜「春じゃのぉ」
🐜「バブー!」
2021年4月
🐜「おい!キリギリス」
🦗「あっ、アリの旦那さん」
🐜「お前さ、毎年毎年、冬に大変な思いをするんだからちゃんと準備しとけよ」
🦗「は~い」
🐜「は~い、じゃないよ!俺なんか10人の家族を一人で養っているん・・・」
🦗「わかってますって。今年こそ、自分の力で冬を乗り越えます!」
2021年5月
🐜「お父さん。キリギリスさんが薔薇の上で居眠りしてるよ」
🐜「またか。どうしようもない奴だなぁ」
🐜「あなた。カレーを作り過ぎたから、キリギリスさんにおすそ分けしようかしら」
🐜「いいよ!あんな奴、ほっとけ」
2021年6月
🐜「そんな所で、何をしてるんだい?」
🦗「あっ、アリのおばあちゃん」
🐜「ずぶ濡れじゃないか」
🦗「アジサイの葉っぱで傘を作ろうとしたんだけど、僕は不器用でさ」
🐜「あんなに歌とバイオリンが上手なのにねぇ」
🦗「なんか、音楽とは別みたい」
🐜「ほら、この傘をあげるよ」
🦗「ごめんね、おばあちゃん。ありがたく頂くよ」
2021年7月
🐜「お父さん、あのね」
🐜「なんだい?」
🐜「ヒマワリさんがお歌を歌ってるんだよ」
🐜「え?」
🐜「やっぱりお前か」
🦗「あっ、アリの旦那さん。こんにちは!」
🐜「こんにちは!じゃないよ。何してる?」
🦗「ヒマワリをステージにして、ちょっと弾き語りを」
🐜「遊んでないで、冬の準備をしろよ」
🦗「は~い。わかりました」
2021年8月
🐜「バカを言うなよ!」
🐜「ちょっとあなた。どうしたの?」
🐜「どうもこうも無いよ!コイツがまた変なこと言うから・・・」
🐜「あら、キリギリスさん、こんにちは!」
🦗「奥さん。いつもいつもすみませ~ん」
🐜「コイツがね、アサガオの花びらで衣装を作ってくれって言うんだよ」
🦗「すご~く良い新曲が出来まして、アリさんのご家族にお披露目しようと。こんな格好じゃ悪い気がして・・・」
🐜「だからって、何で俺がお前の衣装を準備するんだよ!?」
🦗「まぁ、そうですね」
🐜「お前が冬支度をするまで、このバイオリンは預かる!」
🦗「そ、そんなぁ~」
2021年9月
🐜「良いぞ、良いぞ!仕事がはかどるわい」
🦗「おじいちゃんに喜んでもらえて嬉しいです。じゃあ、もう一曲」
🐜「お義父さん?何をして・・・あ!キリギリス、お前!」
🐜「まあ、まあ。そんなに目くじらを立てんでもいいじゃろ」
🐜「おい!もう彼岸花が咲いているというのに、お前はなぜ、楽しそうに歌ってる?」
🦗「音楽で人を楽しませるのが僕の生きがいなもので・・・」
🐜「冬の準備が出来ないのなら、もう俺の家族に近づくな!」
🦗「旦那さん・・・」
2021年10月
金木犀の花が咲いている
2021年11月
シクラメンの花が咲いている
2021年12月
🐜「だから言ったじゃないか!!」
🦗「す、すみません」
🐜「なんでお前は、毎年こうなんだ!」
🦗「来年はちゃんとしますから・・・」
🐜「もう、お前の言うことは信用しない。いいか、いつも冬に助けを求めて来るお前に『準備をしておけ』と言ったのが今年の4月だ。次の月はずっと居眠りをして、梅雨の時期にはお義母さんから傘をタダでもらい、夏場も何もせずただ歌って、そうそう、ステージ衣装を準備しろなんて言ってたな」
🦗「・・・」
🐜「もう俺たちの家に来るな。帰れ!」
アリの旦那さん・・・
ムシかえす
・・・
2021年1月
あても無く歩き続けるキリギリス。
🦗「僕はひっそり消えていくさ」
🐜「お父さん!キリギリスさんを助けてあげて」
🐜「あなた。もう、許してあげたら?」
🐜「そうだな。ちょっと、言い過ぎたかな?」
🦗
雪ってこんなに冷たいんだね。もう体が動かないや・・・
毎年、アリさんの家の中にいたから気がつかなかった・・・
今まで、アリ・ガ・トウ