『絶対に誕生日パーティーを開催するんだから!』
作:コピ
クラスのマドンナ、真奈美ちゃん!
大好きな真奈美ちゃんとお付き合い出来ないかなぁ?
おぉー、気持ちが高ぶってきたー。
そうだ!良いこと思い付いた!
彼女の誕生日がもうすぐ・・・。
僕がパーティーを主催して大いに盛り上げよう!
「ヨシオ君、こんなにも素敵なパーティーは初めて・・・好きよ💕」
ウフフ。
これは、イイねぇ。
フフフ。
パーティーに招待する友人は、男女合わせて30人を予定。
みんなに声は掛けてある。
いよいよ本丸。
真奈美ちゃんの都合を聞いた。
「ありがとう。でも、無理はしないでね。お金がかかると大変だから」
やっぱり、心優しい真奈美ちゃん、だなぁ。
「お金はなるべくかけないようにするから安心して。プレゼントも上限金額を決めているから」
「良かった」
僕は、ホテルのパーティー会場を予約した。
当日には、豪華なケーキが届く予定だ。
プレゼントに上限を設けたが、パーティーに関してはたっぷりお金を使う。
どうせ、親の金だし。
男友達を出し抜いて彼女をゲットするには、これくらいの努力が必要さ。
もうすぐ僕に、世界一可愛い彼女が出来るんだ。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない日本
「誕生日パーティーは中止にしたら?」
参加者にそんなことを言われた。
イヤイヤ、今更でしょう。
結構、お金をつぎ込んでるし、ねぇ。
真奈美ちゃんの為に、僕は全力で取り組もうと思っている。
ただのパーティーじゃ無いってことは、参加者に理解させたいね。
「ワクチン?何でだよ?」
「誕生日パーティーの参加者全員がさ、ワクチン接種済みなら安心できるでしょ」
「俺はワクチン慎重派だし・・・」
「どうせ打つことになるんだから。なら、早い方がイイって!」
ワクチン接種をパーティー参加の条件にしたら反発された。
僕のママにその話をしてみた。
「ヨシオ君。ワクチンは強制するものじゃないわ。これは、感染の予防薬でも治療薬でも無いの。このワクチンは打っても発症する場合があるみたいよ。パーティーは中止した方がいいんじゃないのかな」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
誰も僕の気持ちを分かってくれない。
「無人開催でどうだろう?リモートでさ」
参加者の多くが、会場に集まるのは止めて、リモート飲み会にしようと主張し始めた。
「それじゃあ、真奈美ちゃんの気持ちが盛り上がらないだろ!」
僕は大激怒した。
みんなは、とりあえずパーティーを行えば良い、と思っているみたいだ。
主役は、どう考えても真奈美ちゃん。
真奈美ちゃんはきっと、豪華な会場でみんなに祝ってもらいたい筈なのに・・・。
「ねぇ、真奈美。ヨシオ君に何とか言ってもらえない?真奈美には悪いけど、パーティーは中止が良いと思う。だって、このコロナ禍で大人数が集まるなんて、正気の沙汰じゃないわよ。お願いね」
とても仲の良い女友達にそう言われ、考え込む真奈美。
父親に相談することにした。
「よし、私から連絡してやろう」
真奈美の父は、ヨシオに電話をかけた。
「ヨシオ君かい?娘の誕生日パーティーの件だか、中止か延期、もしくはリモートで開催してもらえないだろうか?娘は、みんなの体が心配だと言っている。何とか頼むよ」
「は、はぁ」
数日後、真奈美の友達が涙ながらに訴える。
「ヨシオ君が『絶対に誕生日パーティーはやる』って言っていたよ。どういうことなの!こんなこと言いたくないけど、私たちは人混みの街に出て誕生日プレゼントを探すのだって怖いのよ。真奈美はどうしてそんなにパーティーを開きたいのよ!」
「違うよ!私は、中止してもらう電話をお父さんにお願いしたもん」
「えっ?『真奈美ちゃんはパーティーしたがってるのに、父親が自分勝手に中止を要求してきた』ってヨシオ君が言ってた」
「そ、そんなぁ」
僕は、絶対に誕生日パーティーを開催するんだから!
中止したら、今まで準備してきた僕の努力が無駄になってしまう。
真奈美ちゃんに喜ばれる機会を失ってしまう。
パーティーが始まってしまえば、きっとみんな、楽しく過ごす筈だよ。
コロナなんて忘れてね。
先のことを考えて、不安な顔をしていても仕方がない。
一生忘れられないパーティーにしようよ!
真奈美ファーストでね
ウフフ
この物語はフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。