コピの部屋

好きなもの・人に対しての想ひを語ってみます。お子様ランチ記事を目指します!

誠意って何かね?おとぎ話『モルタル地蔵』

 

『モルタル地蔵』作:コピ

 

とある雪深い村に、とても貧しい老夫婦が暮らしていました。
年の瀬も近いのに、新年を迎えるための餅すら買うことができませんでした。
そこでおじいさんは大きな町に出て、日々コネコネしているモルタルを売ろうと、持てるだけ持って行きました。
モルタルは、砂とセメントと水とを練り混ぜて作る建築材料です。
「モルタルはいらんかねー」
誰もこちらを向いてはくれません。
モルタルは家の外壁に使われたりしますが、汚れが目立つというデメリットがあります。
また、ひび割れしやすく、ひびから雨水やホコリが入ると劣化していきます。
モルタル外壁は手仕上げということもあり、出来映えは職人の腕に左右されます。
ゆえに施工期間が長くなって、材料費や人件費、定期的な補修などのメンテナンス費用も考慮するとコスパがあまり良くありません。
「村のおじいちゃん特製の手ごねモルタルですよー」
田舎のばあちゃんの手ごねハンバーグ風に言ってみましたが、効果はありませんでした。
吹雪く気配がしてきたので、おじいさんはモルタルを売ることをあきらめ家へ帰ることにしました。

 

 

吹雪いてきました。
帰り道、おじいさんは六人のお地蔵さまを見かけました。
いかにも寒そうな様子を見て可哀想に思い、売れ残ったモルタルをかけてあげることにしました。
おじいさんはお地蔵さまの頭に降り積もった雪を払い、一つまた一つとモルタルをこれでもか!というくらいにかけていきます。
しかし、五人のお地蔵さまにかけ終えたところで、モルタルが無くなってしまいました。
おじいさんは自分が使っている笠を最後のお地蔵さまに被せて、何も持たずに家へ帰りました。
おじいさんからワケを聞いたおばあさんは「それは良いことをしました」と言って、餅や蒲鉾や数の子その他諸々買えなかったことを責めたりはしませんでした。

 

 

その夜、老夫婦が寝ていると家の外で何か重たい物が転がる音がしました。
扉を開けて外の様子を伺うと、家の前に笠を被ったお地蔵さんが立っていました。
その周りには、五つのモルタルの塊。
「おいジジイ!どうしてくれるんだよ!」と笠地蔵。
家の前に、米俵や餅・野菜・魚などの様々な食料品と小判などの財宝が山と積まれているイメージをしていたおじいさんは腰を抜かしました。
「お前たちも固めてやる!」
お地蔵さまは、老夫婦を御影石にしてしまいました。

 

 

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ある温泉街の高級な旅館。
客室に露天風呂が付いていてカップルにも大人気。
やっと予約が取れた一組の男女。
「アイちゃん!やっぱり露天風呂って最高だね」
「でも、洋太君。誰かに見られている気がしない?」
「そう?」

 

 

露天風呂の床に使われている老夫婦柄の御影石は、モルタルで固められているらしい・・・。

 

 

この物語はもちろんフィクションです。
実在の昔話や温泉宿や漫画のキャラクターなどは関係ありません。