『絶望の門松』 作:コピ
――― 翼があれば大空を飛ぶ?
飛ぶわけ無いじゃない
俺が空を飛んだら他人に迷惑がかかるでしょ
それに、飛ぼうとした瞬間に力が入るし・・・
駅から少し離れた場所にあるコンビニに入ろうとした。
新型コロナ関係でややこしいことになっていた。
「厳しすぎるんだよなー」
俺の心の声だ。
コンビニ業界がそういう流れなのか?
諦めて家路を急ぐ。
最近、あいつとの相性が良くない。
出てきて欲しい時は無視するくせに、余計なときに顔を出す。
今、正に顔を出そうとしている。
大丈夫か?いけるのか?
頭の中の天使と悪魔は、二人して首をかしげる。
俺は、誰を頼ればいいのか。
先を急ぎたいが、とても足取りが鈍い。
左右太ももの内側のN極とS極が引き合っているようだ。
傍から見たら滑稽であろう歩く姿。
周りの目など気にしてはいられない。
前へ!一歩前へ!
小さな積み重ねが、やがて実を結ぶ。
辛い思い出も、笑える過去となる、だろう。
気持ちが焦るほど、あいつの存在が大きくなる。
早く忘れてしまいたい。
「あいつはこの世に存在しない」
そう、思うことにする。
「学生時代の部活の方がきつかったなぁ」
昔のことを振り返る。
「明日、急ぎの仕事があったなぁ」
未来のことも考えてみる。
「今、出てきたらどうしよう?」
結局、あいつのことが脳裏から離れない。
俺があいつで、あいつが俺で・・・。
誰の人生には波がある。
いいことばかりは続かない。
いいことに慣れてしまうと、ほんの少しのバッドがとても大きな暗黒の波に感じられる。
やっぱり、波は、ある。
さっきは天使が「行ける!」と微笑んだのに、今は悪魔が「行ける?」とせせら笑う。
・・・もぅ、いけず。
あいつが顔を出そうとしている。
もう、門を開けられるのは時間の問題だ。
自宅の門松が見えた。
「た、たすかった」
慎重に歩みを進める。
大きな動きで刺激を与えないように、そっと鍵を出す。
鍵穴に差し込んだ瞬間、気が緩んでしまった。
あ、あぁ
あいつが一気に出てくる。
もう止められない。
今日の自分の行動を後悔した。
朝から酒を飲んでしまった・・・。
餅をたらふく食べてしまった・・・。
腹の調子が悪かったのに外出してしまった・・・。
近場だからとトイレに行かなかった・・・。
ウンが無かったのか、これでウンがついたのか。
俺にはわからない。
俺は、カミを必要としていた。
ずっと、ずっと前からね。
だから、初詣に行ったのに・・・。
パンツが福袋のようになった。
中身は大量のラッキー。
「今年こそ良い一年になりますように・・・」
この物語はフィクションです。
実際にあった出来事ではありません。
明けましておめでとうございます。
本年も当ブログ『コピの部屋』をよろしくお願いします。
2021年の一発目からこんな感じでスミマセン!
僕なりの、もてナス気持ちでございます。
※1枚目の写真の奥の方に富士山が写っています😄